水上集落と聞くと、スラムっぽいというか、貧しいイメージを持っていたのですが、ブルネイの水上集落、カンポンアイール(Kampong Ayer)は伝統の長いものでした。
元々は全土がジャングルだったブルネイ。陸地に住むのは、森を切り開くのも猛獣から身を守るのも困難なので、水上集落が発展したそうです。
さらに、熱帯地域のブルネイでは、陸地より水上に住んだ方が涼しいという理由もあったようです。
当時使われていた、魚をとるための道具がこちら。
マレーテクノロジーミュージアムに水上集落での暮らしに関する展示がありました。
昔は底が見えるほど綺麗な水だったので、網の上に小骨などを置いて待って、カニが来た時に引き上げて収穫していたんだとか。
追い込み漁のような仕組みの道具もありました。
今でも伝統的な暮らしを守りたいと水上集落カンポンアイールに住んでいる人がおり、水上タクシーなどの交通手段も発達しています。
水上集落には上下水道完備、電気も通っています。
ゴミ問題だけは対処中らしく、政府がゴミ回収ボートを運営しているそうです。
ツアーのプランで、水上タクシーで水上集落の一つに伺いました。
観光客をもてなすことを仕事としているお宅があるようです。
家の中は日本のおばあちゃんの家と同じような感じ。
ムスリムの住宅らしく、玄関を入るとすぐ広いリビングで、大家族全員がそろってご飯を食べられるようになっています。
ソファと机の間が広いのは、親がソファに座り、その前に子供が座ることが多いからなんだとか。
奥のキッチンも見せてもらいましたが、とっても広かったです
伝統的な暮らしや、ボートづくり、織物といった産業を後世に伝えるため、子供たちに技術を学ばせるクラブもあるそうです。
修学旅行で水上集落にホームステイすることもあるんだとか。
また、水上集落にはモスクや学校もあります。
ただ、政府は美観的、衛生的問題から陸地で生活することを推奨しており、30年前には4万人が暮らしていた水上集落にも今には9000人程度しか住んでいないそうです。
地震や津波、台風がないので水上でも問題なさそうですし、伝統的な暮らしは守りたいものの、ブルネイの美しく整備された陸地にマッチしていない感じは否めません。
水上の住居から、水上タクシーで近くの橋まで移動して、橋のそばの駐車場に停めておいた車で陸上の職場に出勤する、という人も多いそうです。
普通に生活しているんですね。
水上タクシーでジャングルまで行ってテングザルを探すツアーも人気らしく、日程が合えばそちらも予約してみるのが良いと思いました。